外科　診療の紹介　|　中津川市民病院

外科　診療の紹介

中津川市民病院外科は、現在常勤5名と非常勤2名の体制で日常診療を行っております。

当科の診療は、消化器外科及び乳腺内分泌外科が中心となっております。

近年、消化器外科分野では、疾患の領域別に専門性の高い治療が求められるようになってきており、当院でも各領域の全国で統一されたガイドラインに準じて治療方針を選択しております。分野別では、上部消化管（食道、胃）、下部消化管（大腸、肛門）及び肝胆膵（肝臓、胆管、膵臓）領域に分かれ、良性疾患から悪性腫瘍（癌）まで様々な疾患の手術を行っております。

消化管領域に関しては、悪性腫瘍に対する腹腔鏡下手術を積極的に行っております。腹腔鏡下手術は、傷が小さく術後の疼痛も少ないため、比較的早期の退院が可能です。腹腔鏡下手術か開腹手術かの選択は、患者さんの状態や腫瘍の進行度などを考慮して決定しており、現状では腹腔鏡下手術は全体の5-7割程度を占めています。また良性疾患である虫垂炎や鼠径ヘルニアに関しても、腹腔鏡下手術が第一選択としており、腹腔鏡下手術が困難な患者さまには、従来の手術方法を選択しております。

肝胆膵領域の悪性腫瘍は、生物学的な悪性度が比較的高い疾患が多くみられます。しかしその反面、手術が唯一の根治的な治療となります。肝臓・胆管では原発性肝癌、転移性肝癌が多くを占め、肝門部領域胆管癌も含めて肝切除の適応となります。また胆管・膵臓では遠位胆管癌、十二指腸乳頭部癌、膵癌、膵嚢胞性疾患、膵神経内分泌腫瘍などが膵切除の適応となります。術式によっては侵襲度が高い手術もあり、手術適応は慎重に選択し、根治性を失わず、安全第一な手術を行っております。

乳腺内分泌領域に関しては、乳癌は女性に最も多い疾患となっております。まずは検査で行い、正確な診断の基に治療方針を計画します。治療は一般的に、手術、抗癌剤、ホルモン治療、放射線療法などを組み合わせて行い、治療方法の選択やその順番などは、患者さまの状態、腫瘍の進行度やサブタイプをもとに、患者さまと相談しながら決定しています。

さらに乳腺疾患だけでなく、甲状腺や副腎などの内分泌疾患の手術も積極的に行っております。

癌治療において、手術は根治性の高い治療方法ではあります。癌の進行度によっては化学療法（抗癌剤治療）が非常に重要になっています。化学療法は、新規抗癌剤や分子標的薬・免疫チェックポイント阻害剤の登場、術前・術後補助化学療法など手術と組み合わせることにより、飛躍的に生存期間の延長に寄与しています。当院でも化学療法が安全に効率的に行えるように、外来化学療法室を開設しております。化学療法室では、全科の外来化学療法を集約し、化学療法を専門とした看護師や薬剤師が常駐することで、薬剤の投与や説明、副作用対策など細かな体調管理を行っています。

しかし悪性腫瘍（癌）は、転移・再発をおこす可能性がある疾患であり、進行すれば終末期となり、いずれは死を迎えることになります。この終末期医療に関しても、麻薬を使用した疼痛管理や経口摂取が困難になった場合には中心静脈ポートを造設して、最期を穏やかに迎えることができるようにサポートさせていただいております。また在宅での療養を希望される患者さんには、地域連携室を通して訪問看護や往診医の依頼など行政のサービスが円滑に受けることができるように、地域の診療所や訪問看護ステーションと連携をとっております。

以上のように、癌治療は一度の手術や抗癌剤投与で終了する治療ではなく、治療中及び治療後は、定期的な通院が必要になります。手術や抗癌剤投与などの影響で夜間、休日に体調が悪くなることもあります。例えば、術後腸閉塞、術後胆管炎、抗癌剤投与による発熱性好中球減少症や癌終末期の増悪などがあります。そのような場合にも、当院で治療をうけていただいた患者さんであれば、状態や治療の詳細が把握しやすいため、迅速に適切な対応が可能です。平日は外科医の診察は随時可能であり、事前に電話等でご連絡いただければ、曜日に関わらず担当者が対応し、夜間・休日は救急外来での対応となります。中津川市民病院外科一同、東濃地域の患者さまが手術をはじめ、術後の長期間の通院も含めて、一人でも多くの方が当院で治療をうけていただけるように、今後も当地域の医療レベル向上に努めていく所存でありますので、どうぞよろしくお願い致します。

中津川市民病院　外科

副病院長　関谷正徳　