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院内感染予防対策指針
院内感染予防対策指針
(平成19年10月1日制定)(平成28年11月最新改定)
Ⅰ.感染予防対策に関する基本的な考え方
感染の防止に留意し、感染等発生の際には拡大防止の為に、その原因を速やかに特定、制圧、終息を図ることは医療提供施設にとって重要である。感染防止対策を全職員が把握し、医療の安全性を確保し患者に信頼される医療が提供できるよう本指針を作成するものである。
Ⅱ. 院内感染対策に関する管理組織機構
1.感染予防対策委員会
【組織】
(1)感染予防対策委員会の設置
感染予防対策委員会(以下「委員会」という)は院内における感染防止策に関する院長の諮問機関として設置する。
(2)委員
委員は次のとおりとする。
病院長、医師若干名、看護部長、看護師若干名、薬剤部門の責任者、検査科部門の責任者、放射線技術科代表、リハビリテーション技術科代表、栄養管理科代表、総務人事課の責任者、医事課の責任者、ICT長、感染予防対策室代表、医療安全管理室(リスクマネージャー)
(3)委員会は委員長、副委員長および委員若干名をもって構成する。
(4)委員長は病院長とする。
(5)委員長は委員の中から副委員長を指名し、委員長を補佐する。
(6)委員長は会務を総括し会議を主催する。委員会は、毎月1回定期的に行い次に挙
げる審議事項を審議する。また、必要時に臨時会議を開催する
(7)委員長は必要に応じ、委員会に関係職員を出席させ意見を聞くことができる。
【任務】
(1)委員は以下に挙げる任務を遂行する。
① 院内感染対策の検討・推進
② 院内感染発生時(アウトブレイクなど)の対策
疫学的、臨床的問題となる感染事例が生じたら緊急に委員会を開催し対策を検討する
③ 院内感染対策の情報収集と分析
④ 予防対策実施の監視と指導に関すること
⑤ ワクチン接種の推進
⑥ 院内感染対策に関する職員の教育に関すること
⑦ その他委員会が必要と定めた事項
2.インフェクションコントロールチーム(以下「ICT」という)
【組織】
(1)ICTの設置
院内感染等の発生防止、感染予防対策全般にわたる具体的な立案、実行、評価などに関する任務を行う院長直轄機関として設置する。
(2)ICTのメンバー
ICTメンバーは感染対策委員長が任命するが、院内感染対策管理者(医師)、及び感染管理に精通した看護師(ICNを含む)、薬剤師、検査技師、総務人事課、感染対策室担当者とする。その他感染管理者の指名する職員を置く事が出来る。
(3)ICTはICT長を置き、病院感染予防対策委員長がICT構成委員から任命する。
(4)アウトブレイク時には院長と同等の権限をもち、拡大防止策の為の院内職員への指示を行う
(5)会議の開催は月1回行うものとする。
(6)会議での審議の内容は書記が記録し保管する。
【任務】
(1)ICTは次の行動指針のもと、院内における感染制御活動全般を病院感染対策委員長に答申し、行う。また検討事項を感染予防対策委員会において報告する。
ICT行動指針
① 患者を感染から守ること
② 職員を感染から守る事
③ 訪問者を感染から守る事
④ 合理的・経済的対策であること
⑤ 環境に配慮している事
ICTの活動
① 24時間体制で感染対策に関する医療上・看護上のアドバイスを行う
感染症発症時の対応、針刺し事例の対応など
② 病院感染関連検出菌の監視と介入を行う
サーベイランスと調査
血流感染サーベイランス(BSI)
手術部位感染サーベイランス(SSI)
MRSA検出状況(月毎)
感染症起因菌の分離件数、データ分析
検体別、病棟別分離菌のデータ分析
耐性菌の検出状況
感受性検査の報告
血液体液曝露事例の調査(エピネット日本版を用いて)
③ 抗菌薬、抗MRSA薬、カルバペネム系薬剤の使用状況調査を行い適正使用の推進を図る
④ アウトブレイク、問題となる感染症発生に対して可及的速やかな対応策を講じる
・感染症発生届け、細菌室からの情報、各種サーベイランス等をもとに院内の異常発生、アウトブレイクをいち早く認識する
・感染発生、あるいは感染症疾患の治療上問題がある症例に対し、速やかに発生の状況原因を調査し治療方法の検討を主治医と共に行う。
(必要に応じて緊急に感染対策委員会の開催を委員長に求めその後の対応を検討する。また対策を実施する為に全職員への周知徹底を図る)
⑤ 感染制御に対する職員の教育を行う
・当院就職時の初期研修の実施
・院内講演会、実地実習講習会など全職員を対象に院内感染予防に関する研修を年に2回以上企画施行する
・感染に関する院内情報及び感染に関する情報を職員に知らせる為ICTニュースを発行する
⑥ 定期院内ラウンドチェックを行い(週1回)感染対策の浸透・改善・指導を行う
⑦ 院内感染対策マニュアルの作成、見直し、改訂、周知を行う
⑧ 環境衛生、器具導入、病院建築などの問題を検討する
⑨ 職業感染対策を行う
・血液体液曝露事例の対応、結核発生の対応
・ワクチンに関する事業
・健診受診に関する事等
(2)会議記録は書記が記載し保管する
3.感染予防対策室
【組織】
(1)感染予防対策室の設置
院内感染等の発生防止や発生時の対応に迅速に解決するよう現場をサポートし患者及び訪問者、医療者の安全確保を行う為感染予防対策室を置く。
(2)感染予防対策室は感染管理に関する情報の収集と関連部署への情報提供の拠点とする
(3)感染予防対策室は医療安全部の所属とし室長にICT長、専従看護師(感染管理認
定看護師)で運営する。
(4)感染管理に関する文献を整備し、インターネットを活用できる環境とする
【任務】
(1)感染予防対策室は以下の業務を行う
① 院内感染対策委員長・副委員長の方針をICTの活動に反映する
② ICTの中核として他関連部門と連帯を取り活動する
③ 病院感染サーベイランスを中核となって行う
④ 病院感染対策に関する職員教育を行う。
⑤ 地域医療施設との連携・相談窓口となり、病院感染対策に関するコンサルテーション、情報交換を行う。
【業務】
(1)感染予防対策室は以下の任務を行う
① 病院感染サーベイランスに関すること
② 病院感染管理に関する教育、啓発、研究企画、運営に関する事
③ 感染管理プログラムの策定と運営に関すること
④ 病院感染対策マニュアルの策定改訂に関すること
⑤ アウトブレイク発生時の調査と介入に関する事
⑥ 感染対策のコンサルテーションに関する事
⑦ 院内巡回による感染対策の点検と助言に関すること
⑧ 病院感染対策委員会、看護部感染の会議及び活動に関すること
⑨ 職員の健康に関すること
⑩ 中央材料室における洗浄・消毒・滅菌業務に関すること
⑪ 清掃・リネン・施設整備・栄養課等の感染防止に関すること
⑫ 医療材料・器材の選定に関すること
【権限】
(2)感染予防対策室は以下に挙げる権限を有する
① 患者データの閲覧が自由に出来る
② アウトブレイク発生時の調査と介入を行う事が出来る
③ 職種職位を問わず感染対策の改善・指導が出来る
4.看護部感染予防対策係
【組織】
(1)看護部感染予防対策係の設置
ICTと連携して、サーベイランス等のデータ収集・担当を行う為看護部感染予防対策係を設置する。
【任務】
(1)看護部感染予防対策係はICTの活動に沿って、臨床現場の感染対策推進の役割モデルとして以下の活動を行う。
① 感染予防対策に係る病院決定事項の周知
② 感染予防対策マニュアルの実践
③ サーベイランス等のデータ収集
④ 各部署の問題点やここの職員の疑問点などを発見しICT、感染予防対策室に報告を行うと共に改善するよう活動する
⑤ アウトブレイクの防止、調査、制圧をICTと共に行う
⑥ 病院感染に関する学習会、研修会に参加し、知識の習得に努めると共に情報を現場に提供する
感染予防対策委員会 委員長(病院長)医師若干名、看護部長、看護師若干名、薬剤部門の責任者、総務人事課の責任者、医事課の責任者、検査科部門の責任者、放射線技術科代表、リハビリテーション技術科代表、栄養管理科代表、 ICT長、感染予防対策室代表 医療安全管理室(リスクマネージャー) |
ICT 医師3名 看護師3名 薬剤師1名 検査技師1名 総務人事課1名 感染予防対策室1名 (感染管理認定看護師) |
感染予防対策係り 感染管理認定看護師 師長 病棟代表者(6病棟) 手術科代表 外来代表 |
Ⅲ. 病院感染対策マニュアルに関する基本的考え方
(1)基本的考え方
CDCガイドラインや厚生労働省など科学的根拠の強い臨床的研究に基づいた、実践可能な病院マニュアルを作成し、随時、改訂・更新を行う。
(2)病院感染対策マニュアルの骨子
標準予防策、感染経路別予防対策、病原体別予防策、核種処置における感染防止対策、医療廃棄物の取り扱い、職業感染対策、抗菌薬使用指針、消毒剤使用基準、洗浄・消毒・滅菌をはじめ、アウトブレイク時の対応や病院感染症発生時の報告指示体制を明示し速やかに対応できるようにする。
(3)職員への周知
必要な部署に配布し必要時閲覧できるようにする。又感染対策の遵守状況を継続的に把握する。
Ⅳ.病院感染管理に関する職員研修の基本方針
(1)研修の目的
病院感染管理の基本的な考え方及び標準予防策、感染経路別予防策、職業感染対策をはじめとする病院感染防止の具体策を全職員に周知徹底し、職員個々の病院感染対策に関する意識と技術の向上を図る。
(2)研修の種類及び方法
① 新規採用職員に対する研修
採用時に病院感染管理の基礎に関する研修を行う
② 感染管理組織に所属する職員の研修
病院感染対策委員会、ICT、看護部感染予防対策係りの各委員は外部研修会、研究会、学会などへの積極的に参加し、感染管理の最新知識と技術を得る。
③ 全職員を対象にした継続的な研修
ア.感染予防対策委員会が全職種対象の病院感染対策研修会を開催する。
(2回/年程度)本研修会は講義、講習会及びアウトブレイク事例報告と検討、または外部講師を招聘した講演等の方法で行うものとする。
イ.感染予防対策室、看護部感染予防対策係り、などによる職場単位の研修会を必要に応じ実施する。
ウ.研究会・講習会など、施設外研修を広く院内に広報し参加を推進する。
Ⅴ.感染症発生状況の監視と報告に関する基本方針
(1)関係職員は、病院感染対策マニュアルに規定した感染症の報告(感染症法に基づく報告を含む)を、感染予防対策室へ行い、感染症院内報告書を提出する。また指定抗菌薬届け出報告を行うと共にサーベイランスに協力する。
(2)ICT、感染予防対策室は感染症報告、サーベイランスデータ、ICT院内ラウンド、指定抗菌薬届け出報告などからリスク事例を把握し対策の指導を行う。
(3)サーベイランスを積極的に実施し、感染対策の改善に活用する。
ア.院内における微生物検出状況のサーベイランスや薬剤感受性パターンなどの解析を行い、疫学情報を感染管理組織、現場へフィードバックする。
イ.手術部位感染、カテーテル関連血流感染等実施する
ロ.対象限定サーベイランスを可能な範囲で実施する。
Ⅵ.アウトブレイク時の対応
感染症のアウトブレイクとは「一定期間内(time)、特定の地域、特定の集団(person)で予想されるより多く感染症が発生すること」あるいは、「公衆衛生上重要な感染症(進行感染症など本来あってはならない感染症)が発生すること」を指す。
(1)微生物の分離率や感染症報告などから、アウトブレイクの発生を迅速に特定する。
(2)アウトブレイクの基準
①同一の感染症状を呈する患者の多発
②感染管理上重要な、特定の感染症の多発
①②について
一例目の発見から4週間以内に、同一病棟において新規に同一菌種による感染症の発症症例が計3例以上特定された場合、又は同一医療機関内で同一菌株と思われる感染症の発症例(抗菌薬感受性パターンが類似した症例等)が計3例以上特定された場合を基本とすること。ただし、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、多剤耐性緑膿菌(MDRP)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)及び多剤耐性アシネトバクター属の5種類の多剤耐性菌については、保菌も含めて1例目の発見をもって、アウトブレイクに準じて厳重な感染対策を実施すること。なおCREの定義については感染症の予防及び感染症患者に関する医療に関する法律(以下「感染症法」という)の定めに準拠するものとすること。
③感染管理上重要な、特定の病原体検出数の増加
④サーベイランスで2SDを越える感染率・検出数の増加
(3)アウトブレイクが発生した場合は フローチャートに従い対応する。(図.2)
(4)アウトブレイク時の初期対応は、感染予防対策室の指示に従う。
(5)感染予防対策室はアウトブレイク発生時の基礎調査を行う。
調査項目と調査の進め方
①検査材料と臨床的データの収集
アウトブレイクと考えられ感染の発生を確認したら、直ちに菌種同定のため検
査最終を行い同時に詳細な臨床的データを収集する。
②未発見の感染患者の調査
アウトブレイクと考えられる症例と同じ臨床症状を持つ患者の発見に努める。
検査科は検査データを下に同一病室や同一病棟などでの患者発生状況をする。
(6)初期対応
①感染防止対策
感染症の治療と、必要に応じて患者の隔離、病院環境の消毒を行い、場合によ
っては病室や病棟の使用禁止などの措置をとる。
②モニタリング
発生した感染症に対する対策の効果についてモニタリングを行う。
(7)疫学的データの収集と分析
疫学的データは時間、場所、患者の3つの要素について収集と分析を行う。
例えば以下のように行うと漏れが無く必要な情報が獲られる。
① 時間
疫学カーブ(epidemic curve:縦軸が感染者数、横軸が時間)を作成する。
② 場所
病室、スタッフステーション、廊下、処置室などの配置図、病室内のベッドの配置などが分かる平面図を用意する。
③ 感染患者
感染症名や病原体の他に、年齢、性別、基礎疾患、合併症、栄養状態、使用抗生剤の種類・量、手術、放射線治療、化学療法、侵襲性の強い検査の有無、カテーテル類の有無、感染者との接触等について調査して、共通項目を探す。
(8)基準にあるアウトブレイク時は、速やかに病院長(病院感染対策委員長)及びICT長に報告するとともに、緊急院内感染対策委員会、またはICT会議を開催し、原因の調査と対応策を講じる。
(9)アウトブレイク時には院長と同等の権限をもち、拡大防止策の為の院内職員への指示を行う。
(10)アウトブレイクの対策
①疫学的データ(時間・場所・患者)から獲られた情報を元に、今後の対応策
を立てる。
②院内のアウトブレイクは共通感染源や交差感染によるものが多い。院内の交
差感染は、医療器具や医療従事者などを介して患者に伝播することが多いアウトブレイクの終息にはいかにして標準予防策及び感染経路別予防策を徹底させるかが、ポイントである。
(11)基準にあるアウトブレイクや、重症者・死亡者などが出た場合の保健所報告については病院長が判断する。また、報告が義務付けられている感染症が特定された場合は、速やかに保健所に報告する。
(12)院内の感染管理組織機能のみで、アウトブレイクへの対応が不十分な場合は、恵那保健所や岐阜大学生体支援センター相談窓口、日本感染症学会施設内感染対策相談窓口などを活用し、外部支援を要請する。
(13)一種・二種・指定感染症、新感染症などの特定の感染症については、恵那保健所、東濃保健所、岐阜県、岐阜大学生体支援センター、国立感染症研究所などと連携をとって対応する。
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